ディスプレイ画像の最小単位は(サブ)ピクセルと呼ばれています。ディスプレイの映像は(サブ)ピクセルを一つ一つ明るくしたり暗くして創りだされています。
トランジスタは(サブ)ピクセル毎に形成され、明るくしたり暗くしたりするスイッチの役割を果たします。TFT基板は数μmサイズの微細加工したトランジスタをパターン形成した基板です。フルHD(1920×1080ドット)の解像度で120Hz駆動のパネルの場合、1000万個以上の(サブ)ピクセルが形成されています。
トランジスタのパターン形成には金属や半導体(シリコン)をガラス基板上に微細加工された薄膜を何層も重ねる必要がありTFT基板製造に関わる装置には高度な技術や信頼性が要求されます。
~写真の焼き増しと液晶パネルのフォトリソ工程~
TFT基板上の微細なパターンを形成する原理は、カメラ(デジタルカメラではなく、いわゆるスチールカメラ)の写真の作り方によく似ています。まず、ガラス基板を洗浄し、感光材(フォトレジスト)を基板一面に塗布します。次にパターンが描画されたネガフィルムに相当するフォトマスクを通して光をあてガラス基板にパターンを焼き付けます。露光されたガラス基板を現像することにより、焼き付けられたパターンが基板上に残ります。
ネガフィルムを用いて印画紙に焼き付けます。
印画紙を現像し、乾燥させます。
焼き増し完了。
フォトマスクと露光装置を用いてTFTパターンを焼き付け(露光)します。
露光後の基板を現像し、工程毎に必要な各種処理(エッチング等)を行います。
TFT基板完成。
スマートフォンやタブレットではパネルの高精細化への流れが加速しています。液晶パネルの高精細化を支える為には、液晶パネルに形成されている画素パターンの微細化が不可欠であり微細加工に対応する新しい技術が必要とされています。 LCDは、パネルの裏面から光(バックライト)を照射して映像を作り出しています。下のイラストでは黒は光を通さない部分、赤は光を通す部分を表しています。
ディスプレイの面積が変わらずに高精細化すると画素が小さくなります。その際に黒枠(BMやTFT)の面積が変わらずに高精細化すると開口率が悪化し、同じ明るさを保つためにはバックライトを明るくしなければならず、消費電力が増えます。その結果、スマートフォンやノートPCのバッテリー駆動時間が短くなってしまいます。
【低温ポリシリコン(LTPS , Low -temperature poly Silicon )とは?】
TFTは半導体(シリコン)の結晶状態により、アモルファス(非結晶)シリコンとポリ(多結晶)シリコンに分けられます。ポリシリコンはアモルファスシリコンに比べて格段に電子が早く(約100倍)移動できます。 ポリシリコンはガラス基板にアモルファスシリコンを成膜後、レーザーアニールによりポリ化して製造します。このポリシリコンはLTPS(Low -temperature poly Silicon )と呼ばれています。 ポリシリコンを使った液晶パネルは高精細で消費電力も少ないので主にスマートフォン等のモバイル用途で使用されています。
【レーザーアニールとは?】
レーザーアニールとは、ガラス基板表面に成膜されたアモルファスシリコンにレーザーを照射することで瞬間加熱し、Si分子の結合状態をアモルファス(非結晶)状態から、ポリ(多結晶)状態に変える技術です。当社は、TFT基板上のポリシリコンが必要な箇所だけを選択的にレーザーアニールする技術の開発に取り組んでいます。この技術は低温ポリシリコンTFTの生産性向上とランニングコスト低減が実現できる新しい技術です。